※HAPPY HOURでは編集を行っていません。ゲスト及び参加者の発言内容に対し一切の責任を負わないものとします。

 

 

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倍賞千恵子
1941年6月29日生まれ。東京都出身。
映画「男はつらいよ」のさくら役に代表される庶民派女優として、また歌手としても親しまれ活躍中。
「男はつらいよ」シリーズ全48作、「幸福の黄色いハンカチ」「ホノカアボーイ」他、延べ164作に出演。
2004年、宮崎 駿監督作品「ハウルの動く城」では声の出演と主題歌「世界の約束」を歌う。
www.baisho-chieko.com

 

小六禮次郎
1作曲・編曲家。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。主な作品として世界劇「黄金の刻」
映画「ゴジラ」、大河ドラマ「功名が辻」「秀吉」、連続テレビ小説「さくら」
みんなのうた「いらっしゃい」、ゲームソフト「決戦」等幅広く多方面にわたって活躍中。
また、倍賞千恵子と共演するコンサートを全国で公演し、好評を得ている。

 

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倍賞さん

ずっと歌ってる歌があって、それをアレンジお願いして、先生に見せたら「なんでここにこのコードを入れるんでしょうね」って「引っかかっ て普通はここに入れませんよ」って。その先生はそう言う先生だったの。小六さんは小六さんで、

小六さん

古い先生だったの。（笑）

倍賞さん

なんかちょっとひっかかりがあるの、なんかそこでちょっと私もひっかかるのは何ででしょうみたいな、「ここはそういうコードは入れないわよね」って。でもそれが小六さんの中での色んなコードの流れの中の独特の何かだったね。

小六さん

その先生も悪くない、だけどそんなの全然違うわけね「こんなとこにこれ入れる」とか「こんな風にこうだ」とか言うのと同じで。僕はそんな革命的なことやってるわけじゃないですよ。「こっちのほうが絶対カッコいい」ってあるわけですよね。

レオ

はい。

克

良い言葉だね。「こっちの方がカッコいい」って。

小六さん

絶対カッコいいんですよ、そっちの方が。

克

「絶対カッコいい」って最後の最高の昭和の言葉だと思わない？

小六さん

うん。

克

良い言葉だよね。

小六さん

誰も信用しないけど、カッコいいんだからしょうがないじゃない。

克

カッコいいからしょうがない。すっげー嬉しい、俺。

 

（笑）

克

自分が言われてるみたい。

小六さん

本当、本当。そういうことですよ。だってそのうち僕らの恰好が良いかどうか分からなくなるでしょう、いずれね分からない。時代変わって。でも今、江戸時代がカッコ良かったりするわけだから、それはどこがどうだか分らないけど。とりあえずその時のカッコ良さってのは絶対あると思う。やっぱりそこは趣旨しますよね。

克

おっしゃる通り。

小六さん

自分でここだって思うところって僕は絶対あると思うから、

克

それは良い意味での本当のプライドなんだよ。ツボっていうのは自分で大事にしなきゃ。大好き、そういう言葉。

小六さん

本当に一番難しいところですよね。売れる、売れないにも関わるしね。

克

あの、ご主人のおっしゃる通り。若い頃カバン作り始めた時はその職人さんからお得意さんから「何やってんだ、何これ作ってんだ」って。初めて僕日本でデイバックってリュック、あれ結構最初に作ったやつなんですけど「お前戦争に行くの？」ってもうボロクソ言われて。だけどある時若手のこういう雑誌とかで「こういうバック面白い」とか。そういうのが少し経ってからお客様とか皆さんが認めて下さって。その時から急にみんな態度変わるね。あれも不思議なもんで。

小六さん

そうそう、変わるね。

克

倍賞さん結構あれですか、自分が信じてやった映画でなんでこういうの出るのって色んな中で過ごして来られたからあったでしょう？なんでこういう映画に出るのとか。僕なんか作るたびに「また始まったのか」って言われて。だけどめげなかったですね。

倍賞さん

一作だけ、題も何も分からないんだけど。ずっとわりと松竹の映画会社はたいがいバラとかダリアとかそういうスターの人ばかりの女優さんがいる映画会社に、あたしが入って行った時に、その辺の道端に咲いてる花みたいなのが来たよみたいな。そのあたしが入ってきた。と言われて、その頃私のやる役は、いつも労働者とか下町の中で働いてる女の子ばっかりやってたんだけど、ある日突然こういうパイプを銜えてスパーってタバコ吸いながら、こういう人みたいな役があたしにきて。

れら

わぁーわぁー

倍賞さん

なぁに？はーい。お腹すいたのね～。

 

（笑）

レオ

すいません。

倍賞さん

その時は一度思って。一度だけそれ思ったんです。とても不思議な。何でこんなことしなきゃいけないんだろうって。それは松竹があたしの可能性を多分見たんじゃないかな。まったく違うものをポンと持ってきてやりなさいって。その作品の題名もなにも覚えてないんだけど、後にも先にもそれだけ。でもその時に見よう見真似で一所懸命にやったっていうのが記憶。所詮そぐわなかったのよね。力もなかったの。

小六さん

パロディーでもなかったんだね、その頃そんなものもなかったんだよね。

倍賞さん

パロディーでも何でもないの。

小六さん

まじめにやったんだ。

木田さん

何の映画？

倍賞さん

なんだかね、題名も覚えてないんだよね。

小六さん

どっか絶対残ってるよ。

倍賞さん

こういうキセルでさ、サングラスもこんなところにこんな大きいのを。それ写真が嫌でね。

小六さん

「離婚しない女」もそれに近いものがあったな。

倍賞さん

あれもね。

小六さん

ちょっと無理があったな。面白いなとは思ったけどね。

倍賞さん

結構やってて嫌だったね。楽しくなかったね。

レオ

その役をやるのがですか？

倍賞さん

うん。ちょっと上流階級の女の人なんだけど、妹と一緒にやった仕事で、監督さんが「倍賞さん、僕に賞をとらせて下さい」って。

レオ

あぁ。

倍賞さん

でもあたしがやったからって賞がとれるってそんなものじゃないって思ったけど。その監督さんのそういう風に言われた時「あぁ、そうかなぁ」って。妹の関係もあったので。それでショーケンがプロデュースやったのかな。で、彼も出てたし。神代さんが炬燵の前で「僕に賞をとらせて下さい」って言われたのがね。でも考えてみたら変な話だったかもね。

小六さん

でも神代さん「賞とらせて下さい」って言ったのは言葉のあやであの人がそんなこと言うわけない。

倍賞さん

言われたの。

小六さん

その後、賞とったけどね。

倍賞さん

その後、舞台もご一緒にお芝居で。酸素ボンベ吸いながら。

レオ

え？どういうことですか？

倍賞さん

もう肺ガンだったんだけど、ボンベを引きずりながら。

小六さん

神代辰巳さんて監督はもう亡くなったけど。僕もけっこう何度もお仕事したんですが、本当にあの人こういう人なんですよね。

倍賞さん

そうねぇ。

小六さん

肺ガンになってダメねのに、タバコ吸いながら酸素ボンベ吸ってるの。

倍賞さん

酸素ボンベを吸いながらこうやって。

小六さん

本当にそうなんですよ（笑）

倍賞さん

酸素ボンベがここにあって、いつもこういう風に。

小六さん

もう見た瞬間に笑っちゃいますよ。

克

なんか今日ね、滅多に聞けない質問とか。例えば一番聞きたかったのが倍賞さんが色んな所の講演会で講演するのも良いけど映画をこれから目指す人たち勉強する人たちに、そういうある組織でも良い学校でも良いし、そういう所で教えるとかそういう気持ちはないんですか？

小六さん

演技とか要するに映画が好きなこれから学びたい生徒だとか、講演会じゃなくて学校なりで倍償さんが講師なり教授なりにそういう映画論だとかいろいろな自分の経験論だとかいうのをそれだけで貴重な教材だけど、そういうことは全然考えられないですか？

倍賞さん

一度も考えたことない。

小六さん

はい！台本があればやるでしょう。

 

（笑）

倍賞さん

面白い、面白い。

克

それ良いですね。

小六さん

大笑いだ。

倍賞さん

台本書きますか？台本書いてくれれば。

 

（笑）

克

レオさんに。

木田さん

自分で監督したいって感じじゃないですか。

克

じゃぁ今度は監督は、

倍賞さん

それはねちょっとやってみたいって思ってた。

克

いつ頃からですか？

倍賞さん

ずーっと前に妹と一緒に。妹はプロデュース、わたしは監督が良いなって、そんなこと話してたことあって。でもこれからもし、

克

いや僕ね、それすごいいいと思う。て言うのはアメリカだとさ、有名な女性の監督、元女優さんだった人が「プリティ・リーグ」だとか有名な、

レオ

ペニー・マーシャル。

克

あそうそう。女優でもすごかったし、監督でも良かったし。俺そういうの良いと思う。日本てないですよね。

木田さん

田中絹代さん。

倍賞さん

うん、田中絹代さん。

克

あっ監督やられたんですか？

小六さん

結構何本も撮ったよね。

倍賞さん

結構何本も。

克

随分昔の話なんですか？

小六さん

昔、昔。

克

あっ、そうなんですか。